TOP » 新型コロナウイルス感染症対策ブログ » SARS-CoV-2 抗原検出用キットの活用に関するガイドライン
沖縄県那覇市にある日本消毒センターでは、新型コロナウイルス感染症(covid-19)対策に関する情報をブログで発信しています。
1 検体採取 検体は、下図のとおり、キット付属のスワブを、顔面に対して垂直に鼻孔から下鼻甲介にそわせながら、鼻腔奥に行き止まる部位まで挿入し、数回擦るようにして粘膜を採取する。 その他、本キットの使用方法は、製品の添付文書のとおり。
2 結果の解釈と留意事項 陽性の場合には、確定診断とすることができる。但し、除外診断には適さないため、陰性
の場合には、確定診断のため、医師の判断において PCR 検査を行う必要がある。なお、新 型コロナウイルス感染症は、感染症法において「指定感染症」として定められており、本キ ットにより新型コロナウイルス感染症患者と診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け る必要がある。
3 本キットによる検査の用途及び使用方法 (1)帰国者接触者外来や検査センター及び医療機関における対応
前記3のとおり、医師が、新型コロナウイルス感染症を疑う症状があると判断した者 に対して、必要性を認めた時に使用する。本キットの無症状者への使用については、無 症状者では検査前確率が低いことが想定されることから、現段階において、使用は推奨 されない。当面は、PCR 検査と抗原検査を併用して使用。なお、緊急入院を要する患 者で症状の有無の判断が困難な場合については、症状があるものと判断される。
なお、現時点では、退院判定の際の活用については、検出に PCR 検査と比較して一 定以上のウイルス量が必要なこと、PCR 検査との一致性に関するエビデンスが十分で はないことから、適さない。
(2)院内・施設内感染事例のためのクラスター防止のための対応 クラスターが発生している医療機関、施設等の濃厚接触者等に対する検査について
は、感染の疑いが高い者は PCR 検査と抗原検査を併用して行う。それ以外の者は抗原 検査を実施することも検討される。
4 臨床試験
(1) 国内臨床検体を用いた相関性
国内臨床検体を用いた RT-PCR 法との試験成績(n=72)は、陰性一致率 98% (44/45 例)、陽性一致率 37%(10/27 例)であった。陽性検体についての陽性一致率を、 RT-PCR 法テスト試料中の換算 RNA コピー数(推定値)に応じて比較すると、100 コ ピー/テスト以上の検体に対して一致率 83%(5/6 例)、30 コピー/テスト以上の検体に 対して一致率 50%(6/12 例)であった。
(2) 行政検査検体を用いた試験
行政検査検体を用いた RT-PCR 法との試験成績(n=124)は、陽性一致率 66.7%
(16/24 例)、陰性一致率 100%(100 例/100 例)、全体一致率 94%(116 例/124 例)であ った。陽性検体についての陽性一致率を、RT-PCR 法テスト試料中の換算 RNA コピー 数(推定値)に応じて比較すると、1,600 コピー/テスト以上の検体に対して一致率 100%(12/12 例)、400 コピー/テスト以上の検体に対して一致率 93%(14/15 例)、 100 コピー/テスト以上の検体に対して一致率 83%(15/18 例)であった。但し、本検体 群は RT-PCR 法で用いた試料液(予めスワブがウイルス輸送液に浸されている)を使用 したものである。
注) 換算 RNA コピー数は、検体(ウイルス保存液に懸濁された鼻咽頭拭い液)からの RNA 抽出効率が 基準物質と同じと仮定した時に得られた Ct 値(Cycle Threshold)から換算した推定値である。
今後、臨床研究によりさらなる評価を実施することとしており、評価結果が得られた場合 には、速やかに反映させる。
(参考資料)
エスプライン SARS-CoV-2 添付文書
更新日時: 2021年3月22日